パナソニックホームズのコスパ分析
ここでは、パナソニックホームズのコスパについて考えてみます。
採用する設備や仕様によって、コスパは変わってきますが、ここでは、パナソニックホームズで建てる人が多い住宅仕様で掲載しています。
パナソニックホームズには、大きく分けて制震鉄骨軸組構造(HS構法)と大型パネル構造(F構法)があります。
まず、制震鉄骨軸組構造(HS構法)の「カサート S」を例として、そのコスパを見ていきましょう。
パナソニックホームズ~制震鉄骨軸組構造(HS構法)のコスパ~
鉄骨軸組構造(HS構法)
カサート Sの外観
参考価格
坪あたり85万円(諸経費込み)
パナソニックホームズの最高ランク級の住宅商品だけに、さすがに坪単価は高価格ですね。
評価
住宅性能・設備
パナソニックホームズ(HS構法)のメインとなる住宅性能を挙げます。
制震装置 アタックダンパー
地震の大きな力が繰り返し加わっても、制震装置で建物の損傷を最小限に抑える。
全館空調システム「エアロハス」
粒径0.3μmの粒子を99.97%除去するHEPAフィルター搭載。
キラテックタイル(光触媒タイル外壁)
親水性と分解力をもつセルフクリーニング効果でメンテナンスの手間を省ける外壁タイル。
調湿石膏ボード(稚内珪藻土)
稚内珪藻土を石膏ボードに塗り込むことで、部屋の調湿性能を高めるもの。
キラテックガラス
窓ガラスに光触媒機能を持たせて、メンテナンスの負担を軽減するもの。
上記のとおり、パナソニックホームズ(HS構法)ならではの住宅性能・仕様の特徴は、他メーカーと比べて多いほうで、費用投資をしているほうだと伺えます。
評価
設計能力
パナソニックホームズの設計部隊は、内部設計士。
パナソニックホームズの営業マンや社員設計士が、設計するので当たり外れが多いのではないでしょうか。
経験値の高い設計士や営業マンに当たれば安心ですが、そうでなかった場合は、お客さん側も大変。
HS構法は構造上、15cm単位で、細かく間取りの寸法を調節できるところが良いですが、設計士の設計能力で、その特徴をどこまで有効活用できるのかがポイントとなりそうです。
設計能力については、あまり高い印象はないですが、設計アイデアについては、家事楽スタイルをはじめ豊富。
評価
施工能力
パナソニックホームズは、その地域の地元中小工務店や建築会社を代理店とする形態。
パナソニックホームズ本社の施工範囲なら本隊が直施工することもあるでしょうが、基本的には代理店が選んだ地元の大工や業者に下請けを任せています。
なので、施工能力も当たり外れが多く、運任せ。
事前に、腕の良い下請けを回してもらえるように、口うるさく依頼しておいたほうがよいかも。
評価
維持費(ランニングコスト)
建ててからのコストはお安く抑えられる傾向があります。
というのも、外壁タイルは、光触媒効果や親水性の効果でメンテナンス要らず。
また、他メーカーでは10年から15年ごとに取り替えが必要な、外壁材と外壁材との間のコーキングもパナソニックホームズではメンテナンス不要。
窓ガラスにも光触媒機能を備えているので、その機能は約5年間しか持たないといわれているものの、清掃なしで放ったらかしてもキレイなまま。
そして、全館空調システム「エアロハス」は、一般的な全館空調の電気代(空調+換気)に比べて44%もカットできるといわれています。
ただ、日ごろの光熱費が抑えられているとはいえ、全館空調などの大型機械を導入すると、あとあとのメンテナンス費用が心配ですね。
評価
売却価格
制震鉄骨軸組構造(HS構法)は、パナソニックホームズの中でも最高級住宅商品。
もちろん、お値段が高いのですが、売値はどうなのでしょう。
売値は購入金額に比例すると考えると、パナソニックホームズは、大手ハウスメーカーの中では、中間に位置する価格帯で、そこそこブランド力もあり売値も有利と推測されます。
また、優良ストック住宅推進協議会(スムストック)という住宅メーカー10社で運営している団体に加入しているので、建物売却時の査定も有利になります。
そして、万一、住居を住みかえる機会があっても移住・住みかえ支援機構 (JTI)にも加入してるので、家賃保証付きで賃貸することも可能なのです。
このことからパナソニックホームズは資産価値のある住宅と言えますね。
評価
制震鉄骨軸組構造(HS構法)のコスパまとめ
パナソニックホームズは目玉となる特徴も多く、建ててからの維持費も比較的軽減できるので、住宅商品としては良いほうです。
制震鉄骨軸組構造(HS構法)については、全館空調の採用もできるし、アタックバンパー(制震装置)も備えているのが良いところ。
また、15cm単位で細かい間取りの設定ができる構造を持っているので、間取りについても相当程度は私たちの希望にかなうものとなりそうです。
※制震鉄骨軸組構造(HS構法)でも、住宅商品(カサートE)によっては通常の90cm単位の調整しかできないものもあります。
ただ、住宅本体価格が、とても高いのでコスパとしては他メーカーと比べても、平均的な評価となってしまっています。
総合評価
大型パネル構造(F構法)のコスパ
つぎは、パナソニックホームズのもう一つの構法である大型パネル構造(F構法)のコスパを見ていきます。
カサートCを例にして考えます。
大型パネル構造(F構法)
カサートCの外観
参考価格
坪あたり65万円(諸経費込み)
大手ハウスメーカーで建てたい人でも、少し無理すれば手が届く価格帯です。
ここからの、値引きも考慮すると、良心的な坪単価に落ち着くのではと思います。
評価
住宅性能・設備
エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)
床下給気からの地熱の利用で熱効率を高め、きれいなベース空間の空気を各部屋に巡らせます。
HEPAフィルターが付いていて、0.3μmの微粒子を99.97%除去できる性能が高い第1種換気システム。
呼吸の道タワー
床下から取り込んだ、キレイで温度の安定した空気を、宅内にいきわたらせる第2種換気システム。
冬は上昇気流の自然の力で換気させるので、電気代不要。
その他の季節でもほとんど、換気のための電気代がいらないのでランニングコストはピカ一。
性能はスギ花粉などを99%カット。さらにナノイーの力で脱臭効果も付いている。
※F構法の場合、「呼吸の道タワー」を選択してもよいし、プラス料金で「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」も選択できる。
キラテックタイル(光触媒タイル外壁)
HS構法と同じもの。
「ホコリやチリが付くのを抑える」「排気ガスなど油汚れを落ちやすくする」「雨の力で汚れを浮かせて洗い流す」効果をもっている光触媒タイル。
ほぼ、メンテナンスフリーを実現した、紫外線に対して60年相当の耐用年数の基準をクリアしている外壁タイル。
調湿石膏ボード(稚内珪藻土)
HS構法と同じもの。
除湿機や加湿器のようにエネルギーを使うこともなく、自然素材の珪藻土が優れた調湿性能を発揮します。
効果がずっと薄れることがなく、メンテナンスの必要もありません。
パナソニックホームズのつかう珪藻土の吸放湿性能は、一般の珪藻土の約3倍、木炭の約8倍。
キラテックガラス
HS構法と同じもの。
太陽の光が窓ガラスに当たると、親水性と分解力が生まれ、汚れを軽減させます。
上記を見てみると、特別、先進的で目を引くような設備があるとは言えません。
しいて言えば、第1種換気システムのエコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)。
他メーカーは、熱交換器を利用して冷暖房効率を高めているけれど、パナソニックホームズの場合は、地熱という自然のエネルギーを利用しているので光熱費がおさえられるというメリットがあります。
どちらかというと、快適性よりも維持費やメンテナンス費をおさえる工夫に比重が置かれているようです。
評価
設計能力
パナソニックホームズの設計部隊は、社員で構成されています。
社員設計士の特徴として、無難に言われたとおりに設計することは得意でも、自らが進んでお客さんに提案していく姿勢は弱い傾向にあると考えます。
ましてや、F構法は間取りの寸法調整が、工場規格である910mm単位。もう少し、風呂場を広くしたい、あと少し玄関にゆとりを持たせたいという場合には思うようにいかない経験をされた人もいるのではないでしょうか。
設計事務所のような、あっとおどろく良い間取りは、期待しないほうが良いかもしれません。
評価
施工能力
工場内から大型パネルを運んできて、専門業者が現場で組み立てていくので、HS構法に比べて手間は要しません。
そのことから構造については、お客さんごとに品質のバラツキは少ないと考えますが、問題は内装関係をつくる大工仕事です。
やはり、HS構法と同じく地元の下請会社が担当するので、出来不出来は、下請の施工能力にかかってきます。
よりよい下請会社を回してもらえるように配慮する必要がありそうです。
評価
維持費(ランニングコスト)
HS構法と同じくキラテックタイル、キラテックガラスの光触媒効果は、メンテナンス維持費を大幅に、抑えることができます。
また、パナソニックホームズの換気システムは、地熱の効果を利用して、床下のベース空間から空気を居室に取り込んでいます。
床下から取り込んだ空気は、年間を通じて温度が安定しているので、冷暖房効率の助けになります。
大型パネル構造(F構法)で第二種換気を選択した場合、呼吸の道タワーは、自然の力で換気される仕組みになっていて、季節によっては全くの電気代いらずで換気できるのも、維持費の削減になります。
大型パネル構造(F構法)は、比較的シンプルな設備仕様になっているので、設備メンテナンスや故障のときでも、大きな出費とはならないでしょう。
評価
売却価格
HS構法と同じく、F構法も住宅を売却するときに有利な、「スムストック」(躯体と内装・設備に分けた査定方式)と住宅を貸すときに有利な「JTI」(マイホーム借上げ制度)で、住宅価値は保証されています。
なので、売却価格も不利になる可能性が少なく安心できますね。
でも、F構法は他の大手ハウスメーカーに比べて、少し坪単価がおさえられているため、期待以上の売却価格を求めるのは無理があるでしょう。
評価
大型パネル構造(F構法)のコスパまとめ
パナソニックホームズのF構法は、快適性よりもメンテナンス費や維持費を軽減する工夫がされている住宅だと考えられます。
他メーカーを見ても、タイル全面張り仕様の住宅は、コストが高くなる傾向にありますが、F構法は意外にもお買い得という印象です。
パナソニックホームズでしか採用できない床下空間利用などの技術的な特徴もあるし、珪藻土利用やHEPAフィルターなどの仕様・設備も平均以上といえるものです。
ただ、担当によっても変わりますが、ルーチンワークのような設計姿勢や下請会社の能力バラツキで施工面が弱い部分が気になるところです。
そうは言っても、建ててからのランニングコストを含め、住宅本体価格と各種設備・仕様を見比べても、トップクラスのコスパを誇っていると判断できるのではないでしょうか。
総合評価